カカと岡ちゃんと俺のワールドカップ
レアル・マドリッドで怪我を理由に絶不調に陥っていたブラジル代表カカ。「いくら払ってると思ってるんだ」「ワールドカップに備えての仮病だろう」と、散々な言われようだがワールドカップ本線を間近に控えての親善試合で約一年ぶりのゴールを決めるなど、マドリッド子、略してマドリッ子の悪口通り回復傾向にあるようだ。どの国でもお金をたくさん貰っている人間は何かあると強く叩かれるものである。
ちなみに昨年末発表された日本代表監督岡田武史の年俸は80万ユーロ、約1億400万円だった。現在はユーロ安が進んでいる(1ユーロ約109円)ので8720万円と言う計算になるが、そもそもはじめから円建てでお金を貰っているはずだから年俸一億円というのが実際の給料だろう。ワールドカップ本番数日前の現在に及んでもシステム固定一つままならない岡田より優れていると思われる監督なんて世界中に何万人もいるだろうに、サッカーの神様は時として残酷だ。しかし現実は恐ろしい。岡田武史は1億の給料を貰っている。
カカが大金でレアル入りした理由はわかる。2007年度のバロンドール受賞者であり、毎年のように個人記録賞を手中に収め、ミッドフィルダーでありながら最高級のリーグであるイタリアで二試合に一回はゴールを決め、常にトップクラスとしての実力を満天下にアピールし続けてきた。レアル入団後の不調は誤算だったが、レアルに大金で入団する事自体は不思議なお話ではなかった。英語で言うとディスイズンツワンダラスストーリー。 しかしながら、ハウエバー、岡ちゃんの場合は横浜マリノスで監督として色々と馬脚を現していたし、特に優秀な監督とは思えない。一億を貰える価値のあるサッカー監督だとはとても思えないわけだ。 もっとも日本サッカー協会が求めている監督はサッカー監督として優秀な人物ではなく協会やスポンサーの要望をよく聞いてくれる物わかりの良い傀儡(くぐつ)だから、その意味で岡ちゃんは最適の監督と言える。乳が大きいぽちゃさんは色んな意味で素敵だが、若干乳が小さくても男に都合の良いぽちゃさんの方がモテる事と同じである。そこではサッカーの監督なのだからサッカー監督としての才能や実践能力が一番大切なのではないかという正論は通用しない。 100年構想を忘れ、一部の権力思考老人、有り体に名指しすると川淵三郎による独裁ごっこの道具に成り果てたサッカー協会にとって岡田は1億の金額を払ってでも雇用に値する人間だと言う事だ。世界中の誰もが岡田武史を代表監督として評価しなくても、協会にとって岡田より都合の良い人間はいないのだ。だからどんなに岡ちゃんがサカヲタを呆れさせる行動を取っても協会の意志はビクともしない。何が何でもワールドカップ終了までは岡田体制。十分な金は払っているから口答えせず言う事を聞け、この野郎という話である。岡田の武史君もドイツワールドカップの惨敗で何一つ物事を学ばなかった金の亡者の犠牲者と言えなくもない。 だが岡田は1億の年俸を貰っているので私は一切擁護しない。カカにに罵声を浴びせるレアルサポの連中と同じである。 「クリスティアーノ・ロナウドはさすがだがカカって野郎は糞の役にも立ちやしねえ」 「オシムには期待してたが岡田の武ちゃんじゃ何も期待出来やしねえ」 我々とレアルのサポーターは似ている。違うのは、彼らが常勝スター軍団のサポーターであり、我々は日本代表のファンに過ぎないという部分である。私たちがテレビや新聞で日本代表の動向をチェックしようとすると、なにやら冴えないメガネのオッサンがジャージ姿(封印していたはずだが復活したらしい)でインタビューに答えずノソッとピッチ脇に立っているわけだ。だがそんなメガネの中年こそが、老害川淵率いる協会にとっては愛しの君なわけなのだ。 川淵も岡ちゃんも大阪出身で早稲田大学で古河電工である。美しき古き良き日本の派閥愛をひしひしと感じる。ぽちゃさんを愛する私たちも、世間様には岡田に固執する川淵サッカー協会のように奇異の目で見られているのでは無かろうか。しかし馬鹿にするななのだ。あんなバブルの忘れ物みたいなコ汚い電通の犬どもと私たちぽちゃさん愛好家を一緒の目で見るだなんてそんな世間は腐っている。 私たちとぽちゃさんの関係は移籍金6500万ユーロを支払ってまでカカを獲得したレアル・マドリッドの方がまだ近い。そうあるべきだ。我々のぽちゃさんを愛する目は濁ってはいないはずなのだから。 はじめから意味のない岡ちゃんに-カカの足元にも及ばぬ金額といえども-大金を注ぎ込んだ愚かな協会とは違う。違うはずだ。違うべきであらねばならない。 協会の岡ちゃんに注がれる歪んだ想いと私たちのぽちゃさんに浴びせる愛の感情は全く違う。そこははっきりさせなければならない。 辛苦の果てにワールドカップで復活の機会をうかがうカカ、ただ迷走しているだけだが偶然に頼り一発逆転・ベスト4を目指す岡ちゃん、正しい女体への愛情を胸に幸福を模索する私たちぽちゃさん大好き星人たち。 2010年南アフリカ、戦いが始まろうとしている。 私は私の戦いに勝負を懸ける。岡ちゃんにもチャンスはある。まあせいぜい頑張って目標達成のために足掻いて見せたまえというところだ。 カカ、岡ちゃん、そして私。 男たちの南アフリカ大会が、間もなく始まろうとしている。
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