吉野家の逆襲
超☆迷走、マジで倒産を待つしかないと思われていた吉野家HDだが、先月売り出した低価格商品「牛鍋丼」がバカ売れ、ギャラクシー級のV字回復状態にあるという。
ここ数年の吉野家と言えば何をどうやってもコスト競争に手も足も出ず、「我々は低価格競争に参戦しない!」と断言しているにもかかわらず、同業他社に全く手も足も出ない惨敗を続け"期間限定低価格メニュー"を乱発、その時々は若干売れるも価格が元に戻るとまた元の木阿弥で閑古鳥という敗北のスパイラルを抜け出せず敗者の烙印をこれでもか通されまくっていたわけなのに、新商品一個売り出しただけでこの大ヒットである。
僅か一ヶ月で業績回復の目処が立つなど、尋常ではない。ただでさえ売れないだけでなく味や価格とは何の関係もないキン肉マン騒動に巻き込まれ勝手にイメージダウンするなど散々だったのに、負け犬の吉野家はもういない。 そんなわけで今月七日から第二弾「牛キムチクッパ」を投入する予定だったのに、バカ売れしている現在、わざわざ他の商品で勝負する必要もないとばかりに牛キムチクッパは十一月以降に販売延期となってしまった。 売れている時はその商品を売り切れというのが商売毎の鉄則である。その意味では昨年九月に品薄状態になり、"「辛そうで辛くない少し辛いラー油」品薄状態についてのお詫び"を出したにもかかわらず一年後の現在になっても品薄状態が続いている桃屋なんかはやる気がないのだろうかと疑いたくなるくらいである。こないだライバル会社のヱスビー食品から出ている「ぶっかけ!おかずラー油」を愛しの君に頂いたがはっきり言って旨かった。こうなると私の中では食べた事もない桃屋<ヱスビー食品の方程式が成り立ってしまう。せっかくブームを作り出したのに間の抜けた話である。桃屋は戦わずして負けたのだ。 その意味では吉野家の牛鍋丼に全てを賭ける戦略は正しい。 「結局安くて美味しい商品を消費者は求めていたのね」「高くて大して美味しくない牛丼じゃそりゃ今まで売れなかったわけですわなあ」など色々と言われる事にはなるだろうが気にする事はない。売れればよいのだ。体重が増えてお乳の肉量が増えたはいいがお腹のお肉も増えた事を嘆くぽちゃさんはいるまいか?気にする事はない。乳は大きくなった。それに私はぽちゃさんのお腹のお肉も大好きだ。何の問題もない。同じ事である。 しかしたった一つ新商品が投入されただけで客数が1.2倍に増えるとか凄い話だ。女性に適度にステロイドを投入すると体重が一気に増加するが(男もだがそれはどうでもいいのでこの際無視する)、牛鍋丼は吉野家にとってのテストステロンなのかも知れない。覚醒剤で言うとヒロポン。多くの国民を一気に中毒患者に陥れた時代の寵児である。ここでステロイドだの覚醒剤というと例えが悪すぎる気もするが、どっちも医学的に上手く活用すれば人体のためになる。牛鍋丼は吉野家の経営基盤を安定させるためのキッカ、もとい、レツ、更にもとい、喝となるのだろう。 発売前は「また吉野家が新製品でいつもの下らない足掻きをはじめやがった」とバカにされていたのに、人の舌は自分に素直だ。私も吉野家の牛丼は今年六月に数年ぶりに食べたはいいが大してインパクトを感じず「また数年食べなくてもいいかな?」ぐらいに思っていたが、牛鍋丼バカ売れのニュースを聞いたら是非とも食べたくなった。現金なものである。 しかし大変気になる情報もある。牛鍋丼には長ネギが入っていないという。私は長ネギが大好きなのだ。 長ネギも入れてくれ。 私からの心よりの願いである。検討を期待する。
|