MSNリニューアル、MSNは、君のためのポータルサイトになれるか
MSNのトップページがリニューアルされて半月以上経つ。 http://jp.msn.com/
とは言ってもGoogleの使用数の方が圧倒的に多いにも関わらず「面倒臭いから」と言う理由で十年以上自PCのホームページをYahoo!JAPA固定から動かしていない私である(その代わりGoogleはツールバーに入れてあるので不自由はない)。なので、正直今更「MSN」なる古臭いブランドが自社サイトをリニューアルしたからとて何の関心もわかなかったわけなのだが、見てみるとこれが結構使い易いのだ。おどタス通信、もとい、驚いた(ロイター)。
90年代後半、パソコンにおける全ての支配権を求めるべく全盛期の七尾みつみ並に肥大化したマイクロソフトの野望にブレーキを掛けたのがインターネット、wwwだった(WWWAとは何の関係もない)。有能な王が市民の全統治に当たるシステムこそがマイクロソフトの目指す所だった。が、市民の自らの意志によって自由に闊歩出来る世界こそがインターネットの醍醐味であり存在意義であるとの認識の上に発展していったのが現状のネット社会である。 正常な男子諸君が世界中の肉塊女体(特に乳)を自由に弄びたいように、本当はマイクロソフトもアップルもYahoo!もGoogleも、全ての企業はネットの世界を支配したがっている。しかし余りにも姿勢的に露骨で、使用者に強圧的だと感じられてしまう企業は、ネットの世界では挿入を焦る童貞の如く拒絶され、十分に支配力を発揮する事は出来なかった。ここは嘘でも利用者の自由意志を尊重する形でサービスを提供する事こそが、賢い王の方策だったのだ。そうして徐々にサービスを広げ、浸透させていったのがGoogleである。 だが時代が変わるとネット市民の意識も変わる。爆発的に利用者が増え、ネットが背伸びした知ったかとオタクしかいない小さな空間であった昔とは違い、誰もが気楽に参加できる大きな世界が生まれ出でた。IPv4は枯渇した。大衆化が進めば支配を受ける事に抵抗感を覚えない層が広がり、主流派になる。彼らが愚衆であると言うわけではない。もう世の中はパソコンに恋して夢中になっている人たちだけの楽園ではない。彼らを統制し導くのも王の役割であると考える意志が生まれて来たとして無理はない。 ちなみに読売新聞によると「無秩序な情報社会を統制する番人(権威)が必要で、それは古くから新聞、テレビと言った報道各社が培ってきたシステムこそが理想的だ」なのだそうだ。 バーカバーカバーカ、読売新聞バーカ。まあ読売の主張を真に受ける人間は老人と馬鹿しかいないから論外としても、ネットの世界においても番人を求める動きが利用者側にあるのも事実である。検索機能を軸に利用者の自発的動作がなければ威力を発揮しないGoogleは利用者の意志を優遇すると言う黎明期のネット社会に相応しい機能を有して世界のスタンダードに躍り出たが、そのトップページは無味乾燥だ。それが売りだからまあいいと言えばいいのだが。 また、Googleの弱点は自分が能動的に情報を受け取りに行かなければ全てのニュースを穫りにいけない所にある(勿論それがGoogleがGoogleたる絶対的な強みなのだが)。 新聞紙を広げれば自分が興味がなくても世間的に重要とされているニュースを確認出来、利用者の知識、常識や見識の拡大にも寄与する事となる(それが権力者や権力者そのものとなった報道各社の意思によって恣意的に情報統制されているのが既存のマスコミの根幹的欠陥なのだがここでは取り上げないでおこう)。 これまでネット社会において、所謂情報発信型ポータルサイトの存在価値は決定的なものではなかった。ところがアメリカではネットに負けた地方新聞社が続々と廃刊し、日本でも既存マスコミを身の回りから排斥する動きが出ている。新聞がなく地元のローカルテレビも力が弱ければネットに情報を求めるしかない。蛇足だが日本の場合は紙社会で大成功した読売とは違い、弱小全国紙の地位に甘んじて来ていた産経新聞のように抵抗を諦め早々とネットへの迎合を本格的にはじめた会社もある。カナロコを有効発信している神奈川新聞もそうかも知れない。 ネットでも受動的サービスを求めるニーズは高まって来ていると考えても良いだろう。それまでのメディアと異なり能動的に参加出来る事がインターネットの魅力そのものだが、それで受動的サービスの意味がなくなるわけではない。 既にアメリカでは電子新聞の課金制度が確立されて来ているし、日本でもiモードユーザーならわかると思うが、掘り下げて新聞社のサイトを読み込もうとすると「有料」の文字が目に飛び込むようになっている。どこまで課金システムが成功するかは未知数だが、インターネット上におけるマス・コミニュケーションとしても役割が今後萎んでいく事は最早ないだろう。読売新聞の本社に巣くうような老人連中にはわからないのだろうけど、老兵は死に逝くのみだ、気にする事はない。 マイクロソフトはWindows OSの圧倒的普及に伴い大企業としての地位を盤石にしたもののネットにおいてはその影響力をうまく行使しているとは言えない。MSNにしろWindows liveにしろ、大幅なリニューアルを繰り返し、その度に迷走の印象を周囲に撒き散らしている。乳はバカデカイがそれで妙にもてるものだから現状に溺れて女を磨く事を忘れてしまう愚かなカナリヤのように。 今回のMSNポータルリニューアルに関しても、「MSNのサービスなんて今更まだやっているのかよ」とか「Windows Liveとかの、他の自社サービスとの統合は止めたのか?」なんて思ったわけだが、今までと違って実際に使ってみて感じるのが、コンセプトの明確化である。 「自ら利用者が検索しなくてもあらゆる情報を提供します」 これまでのトレンドとは真逆な宣言だ。しかし未だに旧来型の情報受け取り型ポータルサイト、Yahoo!をホームに据えている私としても、性能的に十分なものならば今一つ中途半端なYahoo!から切り替える好機かも知れないと思える。黙っていても情報を与えてくれるサイトは読んでいて楽なのだ。勿論、内容にもよるが。 しかしMSNの場合Google的な検索機能がなくなったわけでは勿論ない。トップページには検索ボックスのBingがある。これは大きい。 無論Yahoo!にもLivedoorにもgooにもNIFTYにも検索ボックスはあるわけだが、Bingはブランドとしての可能性を感じるシステムだ。申し訳ないが具体的にどう可能性を感じるのかを説明するのは私の知識と語彙力ではなかなか難しいので皆様方で直接サイトを弄くって試してほしい。実際に触らないとわからないのはぽちゃさんの乳の感触と同じである。 かつてビル・ゲイツの稀有なるプレゼンテーション能力の秀逸さで世界を震撼させたマイクロソフトも今の時代は国鉄的で、Google程の一見ぶっきらぼうに見えて実はきめ細かいといったサービス能力には及ばぬ印象がある。だがリニューアルされたMSNポータルサイトには徹底した「不足なき情報提供」を与える姿勢を感じる。それは左側に並んだニュースメニューバーの使いやすさ、充実感からも見て取れる。本気で情報を選択し、利用者に伝えますよと言う意志をだ。これで世界中の使えるぽっちゃりサイトに直結するリンク集があれば完璧なのだがそれはまだ気の早い話だろう。 広告サイトの遣い方も上手く、大きな広告画像が数秒後には特定の位置にスッポリと収まって小さくなるなどの工夫も先行サイトのYahoo!にはないものを感じる。 面白いと思ったのがFacebook、Twitterと言った既存他社との同期連携である。日本版のMSNポータルには特別にmixiまで用意されている。私も各種サービスを利用しているのでこれは取っ付き易い。別に利用してないのならば「ボクを使ってみてくれよ!」とアピールしているわけでもなく画面の隅に隠れているのもいい。 これがテレビや新聞社だと、癒着の温床となり、例えば(あくまでも「例え」だが)将来的にmixiが衰えたりしてしまったなどという場合でもmixiはずっと画面の隅っこに居続けるのだろう、吉本や創価の芸人がバーターで画面に出続けるように。しかしこれは完全な予想だが、将来的にHTML5への完全以降もあり、利用者の意志によりFacebook、Twitter、mixiをGREEに、モバゲーに、ぽっちゃりSNSに、自由に差し替えるアドオンが採用されるのではなかろうか。そのアドオンは自由にプログラミング、配布されるべきで、アップルのようにいちいちお伺いを立てて採用不採用が決まるシステムにはなるまい。Windows OS上で働くアプリケーションがそうであるように。 期待していたのに有耶無耶になって方針転換、と言うのが今までのネットにおけるマイクロソフトのパターンだが、はっきり言うと今までは理念がでかいだけで大して期待出来るようなサービスを提供しているわけでもなかった。リニューアルMSNには「Windows Liveはどうするんだよ」「そもそも何度でも言うけど、今時MSNかよ」と言ったケチの付け用はいくらでもあるものの、実際に使い易いサイトを構築していくんだというデザイナーやプランナーの確固たる思いは伝わってくる。 ぽちゃさんも結局最後は本当に自分を心から愛してくれる男を好きになるものだ。PCを使いこなせていない人でも(勿論使いこなせている人でも)本当に使いやすいと言う、これまでネット上にあるようでなかったweb上のシステムを目指して、MSNは新たな一歩を踏み出した。 私も今のところSkyDriveは使っていないが、Windows Live Messenger、IE8、Hotmailと、マイクロソフト発のサービスを多々利用している人間である。それに、業界は混沌としている方が面白い。Googleやアップルだけでなく、マイクロソフトという巨人がもう一度webjの世界をかき乱してくれたら面白いのではないか。 愛すべき子は一人でいいが。使えるシステムは一つではつまらない。インターネットの可能性を、追い掛け続けて行きたい。 さあ君も、ポータルサイトをhttp://jp.msn.com/にしてみよう!
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