ぽっちゃり女優を追求せよ -BUFFALO'66-
私は特に映画に関して造詣の深い人間ではない。 たかが一娯楽のジャンルに対して「藝術」とか言っている人間を見ていると胸糞が悪くなるタイプだ。 しかしヴィンセント・ギャロ作品「BUFFALO'66」 (バッファロー'66:1998年)に触れぬわけにはいかない。 この監督兼主演を務めたヴィンセント・ギャロなる人物は、俳優のみならず絵画、写真、映像、音楽の世界でも注目を集めているという、片岡鶴太郎が目指していたが叶わなかった夢を体言したマルチアーティストタレントだ。
性格的には松本人志をもっとナルシストにして、イヤミ度数を更に強化した感じで、正直言っていけ好かない男である。
そんな彼が作ったオナニー映画がこのバッファロー'66なのだが、 「俺のオナニーはあんた達が見ても充分面白いだろ?」 なる彼の囁きが聞こえてきそうな確信犯的作品で、ムカつくが、かなり面白いと認めざるを得ない。 深い意味があると見せかけて実は中身が空っぽなバカ映画は世界中に多々あるが、この作品の場合ギャロの監督としての力量不足でそうなってしまったわけではなく、わざとそう作られている。
「俺は天才肌だけどゲージツには興味ないね」 なんて呟きが聞こえてきそうだ。 また彼はYES(英ロックバンド 公式HP)のファンであり、メンバー入りを狙っていた時期もあったのだが、映画の挿入歌として名曲の誉れ高い「燃える朝焼け」はともかく、ファンの中でも評価が高いとは決していえない「SWEETNESS」も採用している。 それがまた結構雰囲気に合っているのだ。 「世間の評価なんか関係ない、俺はこの曲だって使いこなして見せるよ、普通にね」 なんて思っていそうだ。(というか絶対思ってる) ここら辺のいやらしい作品の描き方は実に偏執的だが、この場合そういう書き方も彼に対する褒め言葉になってしまうので益々生意気な野郎であるとしか言い様がない。 だがここは、ギャロ演じる真の駄目人間主人公とヒロイン役のクリスティーナ・リッチの織り成す物語の面白さとくだらなさに敬意を表する事としよう。
さてここからが問題である。 そのクリスティーナ・リッチなのだが、ぽっちゃり、ロリ顔、垂れ巨乳、ヨチヨチ歩き、17歳(当時)という、反則的要素に満ち溢れたヒロインを見事に演じ切っているのだ。
健康的な痩せ型グラマーが基準である米主役級女優とは思えない。 何故このような女優が存在出来るのかというと、彼女は元々子役としてそこそこ名が知られていたので、関係者や事務所が望んでいた体型に成長しなくてもハリウッドに居場所があったのであろう(ただしバッファロー'66はハリウッド作品では無い)。 それに写真写りも悪い。 ただ思いのほか実力派で、優しさや可愛らしさを最小限の動きで表現できるところが侮れない。 本当はかわいいのに厚化粧で台なし、芋臭い、シャイだが母性的…等と、作品内ではこれでもかと言わんばかりに駄目男の喜ぶ要素で構成されていて、悔しいが私もこんな娘を発掘してきたギャロの思惑の前に抵抗を諦めて這いつくばるしかない。
最後の方のお風呂シーンや、乳首がポチッとシャツ越しに浮き出ている所など、 「お前らこういうのが好きなんだろ?俺にはわかっているんだよ」 という、素直に認めてしまうには余りにも屈辱的なギャロのメッセージが込められている。 彼の犬になるか、意地を張って拒むかの二択を暗黙の内に迫っているわけだ。
貴様にそんな決定権があるのか、何て嫌な奴なんだワン!
爆乳娘を盾にするなんぞ卑怯だワン!
というわけで私は反抗空しく陥落してしまったわけだが、皆さんもこの作品を鑑賞する際は私の二の舞にならないようにくれぐれも気を付けて欲しい。
さてその後のクリスティーナ・リッチだが、どうやらしなくてもいいのにダイエットなんざして、よくある実力派女優への転向を図ったようだ。 せっかく十代の内に素晴らしい肢体を披露したというのに勿体無い話である。 あのたわやかな乳の揺れ具合いは少女のそれでは無かった。 素養は最高だとわかっているのだから早くぽちゃ女優にカムバックしてほしいものだ。 撮影中の、ギャロからの執拗なプライベートでのラブコールをあっさりと袖に振った女である(よくやった!)、いい女になれるはずだ。 しかし減乳手術を受けたという報道もあったが本当だろうか。 事実だとしたら実に馬鹿な話だが、もうしてしまったものは仕方がない。 こうなったら手術で減らした乳はまた手術で増やせば良い。 いつでも待っているから、今度はどうせならLカップクラス緊急事態乳での復活を遂げてくれれば素敵である。
しかしやはりあの体型では、ハリウッドのプロデューサーのお眼鏡にはかなわなかったということなのだろうか… 定められた画一的なBODYしか認めないなんて、所詮は浅はかなアメ公の考えそうなことだとしか言えない。 たかだか映画屋の分際で一人のぽちゃさんが追い詰められ、結果一つの豊乳が失われたのである。 だからアメリカは駄目なのだと力説させて頂こう。
http://www.kinetique.co.jp/buffalo/ Buffalo'66
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