クラーク博士に対抗する
青年(少年)よ大志を抱けとウィリアム・スミス・クラーク教頭は北の大地札幌で吼えた。見も知らぬ他人の為に訓示を垂れるとはまた偉そうなおっさんである。 しかしその言葉は真実に満ちている。大志、即ち大きな志(こころざさし)。漢字にすると二文字だが、胸一杯おっぱい一杯に溢れかえった夢を追い求めよとクラーク先生は教えてくれたのだ。 しかしながら彼の言葉には大きなミステイクがある。 大志の抱き主を若者に限定しているのは頂けない。じゃ例えば私のような中年は大志を抱かなくても構わないと仰られるのだろうか。老人は黙って死すべしだとでも考えられているわけか? だとしたら随分危険思想の持ち主である。デンジャーだ。 「いや札幌農学校(現:北海道大学)の人なんだから若者相手に"青年"って限定しただけだろ、単に」と庇う向きもあろうが、では北大以外の若者はどうだっていいのかよ、札幌大生や旭川大生は眼中にもないというか、おおそうかい!という話になる。同じ北海道の大学である事に変わりはないはずだ。 信者以外は漏れなく地獄に堕ちると規定されている新興宗教でもあるまいに、またケツの穴の狭まったお話である。スモールアナルというやつだ。シャーペンの芯一本通さないような尻穴でどうするのだと強く叱咤したい。 勿論これが北大のうら若きぽちゃ女学生限定に宛てたメッセージとでもいうのならクラーク博士のお気持ちもわからないではない。女性は男を狂わせるものだ。
が、当時の女性はあまり進学は一般的ではなかった。ひょっとしたら当時の札幌農学校に賄いで雇われているお気に入りの若いぽちゃさんがいて、その子個人に向けてク氏は一席ぶったのかも知れない。それなら納得だ。丸美しい女性を前にしてついついかっこいい台詞を口にしてしまう気持ちは私もよくわかる。クラークさんも男なんだなぁと感心する次第である。意外にプレイボーイだったのかも知れない(因みにちばあきおの傑作野球連載漫画は「プレイボール」である。間違えないよう願いたい)。当時の人々が皆鬼籍に入った今真相は不明だが考えられない推測ではないだろう。きっともんぺの良く似合う婦女子だったのだろう。 しかしそうだとしても、それでもなお苦言を告げざるを得ない。ぽちゃさんは平等だ。年齢で差別をしてはいけないと訴えたい。妙齢の熟れた果実も甘いものだ。カレーばかり食っていたからそんな極端なものの考え方をするようになったのかも知れない。私もカレー大好き少年なのでそこら辺気を付けたい。 それと全く話は逸れるがこのクラーク爺さん、学生に白米を禁じるわ学業よりキリスト教布教の方が熱心だわと中々癖の強いお方である。ウィリアムでスミスでクラークなんていう、日本でいう「佐藤明夫」「田中豊」「高橋孝子」並みのインパクトしかない普通極まりなき名前の持ち主ながら、その分性格は捻りの加えられたカーブが掛かっていたのだろうか。余りねじくれ曲がった性格は宜しくない。ぽちゃさんの肉体を構成する曲線美なら歓迎だがオツムは適度にストレートな方がいいと思うのは私だけではないだろう。 ところでここまで書いておいてこんなことを書くのも何だが、「青年よ大志を抱け」は所謂意訳であり、実際は「若い皆さんも昔の人(先人)たちのように大きく志を持つべきです」といっただけという説もある。 これだとまた大分印象が違う。エキセントリックに若者を煽動する活動家みたいな印象だったのが、これだと物わかりのいいデビル後の安西先生みたいである。日本語は難しいという事だ。 それでもクラやんが英語で呟いた言葉は意味を変え主張を変え今の世に残り続けている。クラークが言ったとされる言葉はこれだ。 'Boys be Ambitious!' 死しても尚自らの意思が残り続けるのは教育者冥利に尽きるというものだろう。 Boys Beと聞くと怪しいやおい関係がまず頭に浮かぶ私のような生物は放って置いて、とにかくクラーク先生は学生たちに野心を抱けと伝えたのだ。そういう事になっているのだからそういう事にしておこう。 だが一つ気になることがある。 「Boys」と口にしているという事は、やはりクラーク老人はぽちゃ女学生にこの言葉を伝えたのではなかったという話になってしまう。ぽちゃさんに贈られた言葉なら「Girls(Girl)」或いは「You」になるはずだ。Boysだと男も混じってしまう。実はホモだったのだろうか?だが敬虔なクリスチャンだったというし、その可能性は低かろう。キリスト教に同性愛は御法度である。とはいえ、何せ120年前に没した人物である。謎が解明される事はないだろう。 ただ銅像と言葉だけが北の地に残り、象徴として輝き続ける。日本に長く暮らしたわけでもない人物のくせに、我々の記憶や歴史に残っているというのは中々ロマンティックな話ではないか。 私も全ぽちゃ人類に偉人として思われる存在に君臨したいものである。 それぐらいの資格は、なきにしもあらずではなかろうか。
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