反省しつつも反省し切れていないお話
ピクピキピキーン、ブリバリベリッ。これは私の薄ーい堪忍袋の緒が切れた音である。小さい頃は我慢強く耐えるいい子を演じ続けていた甲斐あって大人受けは良かったのだが今思うと失敗だった。頭に来たら怒り、許せないと思ったら叫ぶ、そんな子供の方が大人になった時思慮深い人間になるのではなかろうか、そう考えるこの頃である。
勿論物事には何にでも限度があって、アホ過ぎる子供がそのままアホな大人になり、結局アホな老人のまま人生を歩み続ける最悪のパターンもままあるが、小さい頃から我慢に我慢を重ねて耐え続けられる程人間の脳キャパシティは大きくないと感じるわけである。私は間違いなく小中学生の子供の頃より今現在の方が短気で好戦的だ。あまり喜ばしい話ではないなあと反省する次第である。
普段はにこやかで楽しい男を演じているが、ぶっちゃけ作られた顔である。舐められたり、軽く見られたり、貶められたと感じた瞬間の豹変っぷりは自分で言うのもなんだが酷いものだ。子供の頃は出来た忍耐が今は出来なくなっている。 「確かに私も子供の頃は女性の乳を鷲掴みにするなんて恐れ多くて出来ませんでしたが今では気にせず毎朝通勤途中で楽しんでます。好みの大人しそうで眼鏡のぽちゃさんが目の前に立てば、例え息苦しい東急池上線車両であっても肉圧のパラダイスですよ!」 パカ野郎、それは犯罪だ。恋人かイメクラでの風俗嬢とのプレイ程度に抑えておけ、現実にやっているなら今からでも遅くはないから警察に自首しろと強く訴えたい。 とは言え子供の頃欲望を抑制していた人は大人になった時弾けてしまいがちなものである、これは事実だろう。自慰一つ知らないぽちゃさんに性の喜びを教えてあげたらどうなるか...ウフフである。このようにまあ、弾けた方が喜ばしいケースもあると言えばあるわけだ。しかしあくまでも例外である。やっぱり自制出来ない大人というものは通常傍から見ていて心地良いものではない。 私は不幸にも「我慢して物事がよい方向に働いた経験」を持たぬまま中年ロードに突入してしまった。遠慮すると付け上がる人間の何と多い事か。そんな人と関わってしまった時、最早冷静に話し合おうだなんて全く思えない。抗戦あるのみである。潰すのだ。黙っていたら、思うようにされるがままが人の世だ。 しかしでは我慢せずに戦えば未来が拓けるのかというと特にそう言うわけでもない。 遠慮せずに戦えば戦ったでその後の人間関係がややこしくなるだけである。ここら辺が難しいところだ。要するに我慢しようがしまいがもう「そう言う状況」に陥った時点で詰みなのである。後は自分だけが叩かれて終わるか、相手を巻き添えにしてついでにストレスを溜めぬよう反撃する方策をとるか、二つに一つしかない。まあ、私の答えは決まっている。不毛だが、怒りはぶつけるべきだ。犯罪でもないのなら、やらずして後悔するよりはやって後悔した方が良い。というかやると後悔しないものだ。まあ、大人になりきれぬ未熟者の結論である。 本当に尊敬出来るのは大人になっても我慢して黙々と仕事に励む事が出来る人である、とつくづく思う。私の身の回りで言うと遠藤さんや小川さん、あと菊地さんや花井さん。そんなところだろうか。 「えーと...誰だそいつらは」と訪ねられても有名人でも何でもなく、「ハイ、私のかつての仕事仲間です」としか答えようがないわけだが、本当にああいう人たちは偉い、素晴らしいと思う。決して愚鈍ではなく、明晰な思考に依って、あまり恵まれずとも、しかし決して腐らず、諦めずに、黙々と仕事に当たる。 私は彼らのような大人になりたいと心の底から思う。おっと、超マジレスだ、まあいいか。しかしどうもそれは難しそうだなあと深く染み入る現実だ。どうも私の堪忍袋は強度が脆くなってしまった。ドラゴリーと相対した時のムルチの顎ぐらい脆い。そしていつも思うのだ、「何故ここで堪える必要があるのか」と。 敢えて自己弁護すると、好きになった女の子に声を掛けずして終わるような愚図な自分とはおさらばしたと言う事だ。 逆に言うと耐える事の意味を学ばなかった無残な大人の姿とも言える。 駄目だなあ、もう少し上手く世渡り出来る男でありたいなあと自己嫌悪する反面、抗戦して相手を叩き潰そうと藻掻く自分の姿も実は決して嫌いではない。許せないものに牙を剥くのも一つの在り方だろう。 何にもせずに泣き寝入りとか、冗談じゃねーんだよ。 まあ要するに、言いたい事はそれだ。そこに乳があれば電車内で隠れて痴漢するのではなく、堂々と真正面から揉める仲になれば良いではないか。 抗う時は、抗うしかない。次はねーぞいやマジで。 哀しくもあり、そうでなくもあり、これが社会人生活にいまいち順応し切れない男の、小さな結論なんである。退屈な日々の中で、敵を見付けて刺激のあるワクワク感を感じてしまっているのも事実だ。うーんちょっと歪んでますね。やっぱりもう少し反省しなければまずいんだろうなあ...やっぱり。
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