偉いぞ松井秀喜
松井秀喜がワールドシリーズMVPに輝いた。6試合中たったの3試合の先発、出番の少ない指名打者と代打での受賞である。ぶっちゃけ今年で契約が切れる松井の場合間違いなくシーズンオフには半ば強制的にニューヨーク・ヤンキースからのFA放出は間違いないと思われていたものの、何せシリーズMVPである。どのような契約内容になるかはまた別だが、残留の可能性は一気に高まったと言えるだろう。
ここ一番の松井の粘りは全く大したものである。「もう駄目だろう」と思われるところで踏ん張れるのだ。大したものである。 もっとも素直に退団すればするで、お隣のニューヨーク・メッツも「一塁手として」獲得を検討していたとの報道もあり、競争の激しすぎるヤンキースに減俸契約を呑んで居残るメリットがあるのかどうかと言うと疑問もある。他のチームの方が選手生命も伸びるのでは、と思われているわけだ。と言うか私もそう思う。
すぐ横にぽちゃさん大好き少年がいるのに痩せた女の子が好きなイケメンに心奪われているようなぽっちゃり女学生のようなもので、もう少し楽な球団を選ぶ選択肢もあるだろうに松井は「今後ともこのチームの一員でいたい」と記者会見でも明言した。 しかし自分の生き方を自分で決める権利は誰もが持っている。松井は敢えて「ヤンキースに居続けたい」と言う自らの意志を示したわけだ。「自分の意志」がこの地球上で一番大切なものである。間違いない。 しかしそんな拘りを固持する余り一人のぽちゃさんがぽちゃさんを心から愛してくれる青年との邂逅を逃すとなれば、これは非常に勿体なさ過ぎる話である。ファミコンを買ってきてくれと頼んだのにセガ・マスターシステムを買って貰ってしまったようなものだ。メガドライブならともかくマスターシステムだとちょっとフォローも難しい。開き直ってマイナーゲーマー道を突き進む選択肢もあるが、SEGAずっぽりのオタク道を選ぶより、無難なファミコンライフを選択する方が人生楽である。どうせセガを信じてもセガサターン、ドリームキャストと裏切られ続けるのだから、今から二十余年前の子供たちにアドバイス出来るのならば「素直にファミコン買い直して貰え」と教えてあげたい。 しかしテレビゲームの事などよくわからないおとんおかんが「ワシはこっちの黒くて四角い機械の方が格好良く見える」と思い込んでしまえば家に持ち帰ってしまうのはマスターシステムになってしまうわけだ。だってお金を出すお父さんお母さんが自分の意志で選んだ選択肢ですもの。他の誰に止められるという類のお話ではない。 松井もヤンキースで長年戦ってきたという意地とプライドと思い入れがワールドシリーズでの大爆発に繋がったのだろう。球団経営陣がどう思ったかはわからないが、ヤンキースファンは松井に対して「これからもずっといてくれ!」と思っている事だろう。男の意地が、なくなりかけていたヤンキースと共に歩む未来を手繰り寄せたのだ。 しかしだからといってこちらを振り向かない愛しのぽちゃさんを「彼女が振り向かないのだから」と諦めるのは愚か者の結論である。 松井がやって見せたように、己の魅力でぽちゃさんを振り向かさねばならないのでは無かろうか。私はそう思うのである。 信念ある者だけがチャンスを掴む事が出来る。 2006年の怪我以降運に見放され、二度のWBCへの出場、日本優勝にも縁がなかった松井。 悔しさや辛さを乗り越えて、尚かつ真っ直ぐに走り続ける事は容易ではないのだ。 おめでとう松井秀喜、君は今報われ、果てしなき明日への扉をこじ開けた。 絶望なき開拓者へ心からの拍手を。
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