空港事情
日本には多くの要らない空港がある。政治家と官僚、JALが利権を背景に開発を推し進めてきた結果だが、JALがこんな事になってしまった影響もあり、大変困った事態に追い込まれているわけである。
特に昨年開港したばかりの静岡空港(富士山静岡空港)は県との関係悪化もありJAL撤退が決定。新興エアラインのフジドリームエアラインズ(FDA)のみの就航となるなど、非常に前途多難な状況に陥っている。ぽちゃさんとの初デートに5時間遅刻するぐらい前途多難だ。もう諦めて家に帰った方が良さそうだ。
運営的に危ない空港、困った空港は多い。 南紀白浜空港、能登空港、新潟空港、大館能代空港、石見空港、佐賀空港... 地方空港は非常に厳しい時代に突入している。 そんな中わざわざ空港を開設した静岡に関しては開港前からカラータイマーの赤がピコピコ唸っている状態だったわけだが、JAL撤退を受けピコピコを通り越しゼットン火球でカラータイマーを割られた段階にまで突入してしまった感じだ。 そもそも静岡に空港が必要だった理由が未だにわからない。 白浜や輪島、北秋田、益田、佐賀はまあまだわかる。東京から遠いから、採算が取れるかは別としても、空港があって定期便が就航してさえいれば便利ではある。新潟空港は新幹線が開通して以降存在意義が激減したが、それ以前は十分に存在理由があった。これは山形空港も同じである。それに新潟は自衛隊も共用している。 そしてこういった地方に住んでいるぽちゃさんが私に会いたくなったら飛行機は便利だ。 例えば利用する人が少ない能登空港と言っても、いざ利用すれば1時間半足らずで羽田に到着出来るのである。遠く離れた愛しの君と、日帰りデートだって可能なのだ。これはとても素晴らしい。輪島市民のぽちゃさんがこのブログを読んでいたら、是非とも飛行機で飛んできて欲しい。 しかしながら新幹線駅があり東京、名古屋、大阪まで3時間圏内の静岡に空港が必要だったのか、実に疑問だ。しかも静岡空港は静岡県の二大都市である静岡市と浜松市の中間の牧之原市に置いたため、逆にどちらからも行きにくい空港となってしまった。浜松に本社があるスズキの社長が「静岡空港を仕事で使用する機会は訪れないだろう」とはっきり口にしてしまったわけだが仕方がないと言える。多分心の中では「官僚バーカ、勝手に困ってろ」と思っている事だろう。 東京に近すぎて羽田便発着が存在しない地方空港がどうやって存続するのか。何か新しいアイディアがあったのかと思っていたが、なかったようだ。採算や維持費用を度外視してとにかく空港を作るという既成事実を完成させる事だけが利権屋の目的だから、その後のツケを払うのは我々国民である。韓国にも空港を作ったはいいが定期就航便が一便もない空港が存在する。馬鹿な話だと笑っていたが、日本人もそこら辺大差ないようだ。羽田便がないとわかっていて開港し、案の定苦しんでいる静岡空港、福島空港がこれからどうなるのか、非常に見物である。 ところがそんな状況の中またもや茨城空港が開港するわけである。と言ってもこの空港は今の航空自衛隊百里飛行場であり、自衛隊基地がついでに民間オープンしました、と言った位置付けなのでまだ静岡・福島両港よりは希望が持てる...かも知れない。いや大して持てそうにないけど、静岡よりは、まあ。いややっぱりないかな。 茨城空港が目指しているのは使用料金を廉価に抑え、羽田、成田に枠がなく、就航が困難な海外の格安航空会社向けに門戸を広げる路線らしい。これは今までの地方空港にはない新しい経営戦略である。もっとも今まで以上に「存在意義がわからない空港」と各方面からボロクソに叩かれているので無理矢理そう言う経営方針を捻り出しただけかも知れない。本当に格安航空会社を誘致出来るのか。格安会社を呼んだはいいが運営出来るのか、は思い切り未知数である。 そもそも場所が悪い。土浦からも水戸からも遠い。格安の安いチケットでこの空港に旅行者が来たとする。しかし空港から東京まで移動する料金・時間を考えるだけでも気分がクラクラしそうだ。それに格安航空会社と言うが、今の時代大手エアラインのチケットも安く買える時代である。霞ヶ浦の脇にまで出掛けてまで利用したくなる空港になるのかというと難しい。東京方面に向けての格安シャトルバスの運行などが整備されれば、少しは成功の可能性も高まるのだろうか。しかし国際便メインの成田空港に程近く、それでいて東京からは成田より遠いというのもまた非常に苦しい。90kg超級のぽちゃさんに1万M走をやらせるようなものである。心臓爆発寸前状態なのだ。 貨物専門の空港会社のハブにするという手もある。しかし貨物会社を呼ぶのならば24時間空港である事が望ましい。近くに民家が全く無く、夜中まで飛行機が飛んでいても苦情の恐れがない佐賀空港は夜間貨物専用便を就航させた。だが内陸地にある茨城や福島の空港では難しそうだ。やはりちょっと考えただけでも採算が取れそうにないという結論になってしまう。どうして日本の政治屋や土建屋は必死こいて空港を作りたがるのだろうか。累積赤字が膨らんで未来永劫財政を苦しめる現況となる事ぐらい想像付くだろうに。 茨城空港は札幌、大阪、福岡、沖縄の4路線で年間81万人が利用すると試算を立てていたという。勿論運輸省幹部が空港建設にGOを出すために無理矢理捻り出されたウソの数字である。実際開港(今年の3月)を控えて決定した国内路線はゼロ。一路線もない。文字通り0である(海外便はアシアナ航空のソウル行きがひと便ある)。ウソと言い切って何ら問題はないだろう。だめだこりゃ。 日本の公共事業の悪いところが見事なまでに現れているのが空港事情である。私は民主党が嫌いだが、こういう政治を長年続けてきた事を思うと自民党も非常に信用ならない(この期に及んでも森とか小泉の息子とか、昔のままの政治活動続けているし。バカなのか?)。 さて静岡空港と茨城空港というと、どちらが存在価値がない空港だろうとしょっちゅう比べられているわけだ。私はどちらも存在意義がないが、静岡空港の方が更に価値がないと睨んでいる。何故なら茨城の方が都心に近く、首都圏第三空港としての利用価値はまだ(静岡よりは)あるように思えるからだ。自衛隊基地併設なので、空港の存在意義が現時点で存在する事も大きい。それでも未来の視界が開けているとはとても思えないが。 男のぽちゃさんと男のガリはどちらも存在する意味がない。静岡並びに茨城、ついでに福島空港の三港も、そんな風に断罪される空港にならぬよう頑張って貰いたいものだ。傷が拡がる前に廃港するのが一番いいと思うけど...実際の話。
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