たばこ事情
神奈川県の禁煙規制が強まる事となり、益々喫煙者は肩身が狭い。私も2006年11月までは一日平均マルボロ二箱強のヘビースモーカーだったので彼らの気持ちは良くわかる。マクドナルドやロイヤルホストも全席禁煙となり、お昼時にたばこが吸える空間は壊滅状態にあるという。
昔ニューヨークに旅行に行った帰り、JFK空港の出発ロビーで「どっかたばこ吸える所ない?」と空港職員に尋ねたら、何と一回空港の外に戻されてタクシー乗り場脇の灰皿に案内されたことがある。一度出発ロビーにまで進んだのにまた搭乗手続きからやり直しだとか、ほとんどいじめの世界である(条例により建物内での喫煙が禁止されているかららしい)。
逆に中国やイギリスなどでは(今は知らないが)いつでもどこでも吸い放題だった。 日本も昭和の時代までは電車の座席にも普通に灰皿が付いていたものだが、そんな感じである。 しかし近年はロンドンでもパブでたばこが吸えないようになるなど規制が厳しい方向に進んでいると言う話だ。イギリス人にパブでビールとたばこを禁止させたら暴動起こしそうな気がするが実際どうなのだろう。 ご飯を食べたらたばこ、飲み物を飲んだらたばこ、仕事に行き詰まったらたばこ、何となくテレビを見ながらたばこ、通勤で駅のホームに着いたらたばこ、ドライブしながらたばこ、横浜ベイスターズが負けた悔しさでやけたばこ。 たばこが好きになると一日中お世話になるものである。それ程までにニコチンの中毒性とは凄まじいものだ。 とは言うものの「よし今日から禁煙してみるか」と思い立ったその瞬間からスパッとたばこを卒業し、全く何の禁断症状も無く過ごしている私である。隣で喫煙している人がいても何とも思わない。特に再び吸いたいとも思わないし、別に副流煙が漂ってきても気にならない。見事なまでに無関心になった。自分で言うのも何だが素晴らしいまでの禁煙模範優等生である。 かつての私はたばこを愛していると自分では思っていたが今思うとぽちゃさんに対する想いに比べれば微々たる情熱しか持ち合わせていなかったようである。このまま一生たばこを吸う事が無くても特に困らないが、二度とぽちゃさんの肉肌に触れる事が出来なくなるとしたら悲しさのあまりゴムボート一隻で北朝鮮に単身亡命してしまうかも知れない。全てに絶望した男は何をし出すかわからないものだ。 とは言うものの、かつて自分がそうだっただけに喫煙者の立場もよく理解出来る。なぜここまで抑圧されねばならぬのだと憤慨もするだろう。だいたい私の計算によると泥酔する酒飲みの方がヘビースモーカーに比べ社会的に百兆倍は迷惑だ。はっきり断言しよう。酒飲みの方が社会的に害のある生物である。たばこの吸いすぎで騒いだり暴力をふるったり錯乱したり車の運転をミスする者はいない。酒を飲まない奴とは腹を割って話せないだと?このチキン野郎が。そんな弱虫君はこちらからお断りだ。好きだから飲むといえばいいだけなのに下らない自分を正当化するための理屈を重ねるのは愚か者の所業である。 しかしまあそんな私の感想はともかく世間はどちらかと言うと喫煙者より酒飲みの方に優しい。喫煙者の皆様にはこの理不尽な世の中に負けず、腐らず頑張って生きましょうとエールを送りたい。 確かにたばこの匂いは周囲には広がるものである。肉幅太いぽっちゃり若妻が歩くだけでフェロモンの香りがむせかえるのと同じだ。 私なんか禁煙して三年半になろうというのに、未だに雨の日になると濡れた作業着に微かなたばこの香りを感じる。たばこを吸った事のなかった子供の頃から、喫煙していた頃、そしてたばこを断った今に至るまで、たばこの匂いを全く苦にしない私のような人間はいいが、世の中には極めて僅かな臭いに超反応を示し狂ったように嫌煙権とやらを主張する方々もいる。そんな人を相手にすると面倒なので雨天時は別の作業着に袖を通す私である。 「私はたばこを吸う女だけど、潔癖で清々しい笑顔が似合うROUNDABOUTさんに喫煙女性はそぐわないんじゃないかしら」 そんな遠慮は要らない。私は全てのぽちゃさんに平等な青年なのだから。 あっ、でもアル中酒乱なぽちゃさんはちょっと考えさせては欲しい。 酒乱は良くない。矯正施設で社会生活に適応、復帰出来るようになったら共に愛を奏で合おうではないか。ぞなもし。
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