走れザッケローニ
サッカー日本代表監督にアルベルト・ザッケローニが就任した。
本人は「ザック」と呼んで欲しいそうだが成績次第では「ザク」「ザコ」或いは「ケロ」「ゲロ」なんて呼ばれてしまいそうだ。渡辺という名前だとどうしても「ナベ」「ナベさん」「ナベちゃん」と言うあだ名に収まってしまいがちなように、本人の意思とは別にあだ名と言うものは決まってしまう。
例えばオリックス監督時代の石毛宏典に付けられたあだ名は「ポレ」だった。これはインタビューで自分の事を「オレ」(ore)と言ったにも関わらず、ニュースサイトで「ポレ」(pore)と誤植されてしまいそのまま面白がられて呼ばれ始めたと言う不幸な歴史である。しかしエキセントリックな石毛監督には似合いのあだ名でもあった。当時のオリックスは今の横浜ベイスターズ程ではないが壊滅的に弱く、ふがいない自軍に向けられた「上等だ、ポレはちっとも困らん」なる名言は私たちネット雀の胸を打った。 そんな石毛宏典だが、彼はオリックスの契約を三年契約の一年目途中で打ち切られた時「ただ飯を食うのは忍びない」との理由で残り二年弱の給料を資金に野球の底辺拡大を願って独立リーグを立ち上げた。偉いと思う。しかしそんな立派な人でもあだ名はポレである。 あだ名の法則。そこには本人の意思は介在しない。恐ろしい話である。自分の事をインテリだと信じているに違いない岡田武史前監督は「岡ちゃん」と呼ばれる事を嫌っていたようだが本人がどう望もうが苗字に岡が含まれるおっさんに「岡ちゃん」なる呼び名が付けられてしまう事は色々な意味で仕方がない。ぽちゃさんの乳が加齢と共に垂れ下がっていく事ぐらい仕方がない。 世の中には仕方がない事と言うものが多々ある。感じたくなくても股座に電気按摩を押し当てられると狂い咽んでしまうぽちゃさんと同じである。人はあるがままに現実を受け入れなければならない。 セリエAでスクデットを獲得したものの、その後監督としてのキャリアに大きな上積みが出来なかったザッケローニは、未経験の「代表」と言うカテゴリのチームで自らの可能性に挑戦する。強いチームを勝たせた経験はある。では決して強くない日本を勝たせる事が出来たらどうなるだろう?ザッケローニは、冒険の海に飛び出したのだ。 未来への道に躊躇いは要らない。変なあだ名を付けられる運命が待っていようとも、そんなもので失われてしまう程のチャチな希望ではないのだと自らを信じ、新しい航海に乗り出したのだ。 ぽちゃさんもあまりの乳の大きさに「ホルス」とかあだ名を付けられてショックを受けている子がいるだろう。しかし悲しむ事はない。 あだ名などどうでも良いのだ。人間の真実は、己の未来を信じる事なのだから。マル。
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