舐めると痛いで
人員十名の部署の中でたった二人しかいない正社員のうちの一人が全くやる気のないおっさんで、緊急非常事態に「上からの命令がなきゃ動かねーよ」とか嘯いて置物と化していたら皆様はどう思われるだろう。
ちなみにどれぐらいの緊急非常事態だったかと言うと「死者が生じる可能性があるくらいの緊急非常事態」である。 こんな時に他人事のように突っ立っていて周囲の指示に従わない人間に仲間意識を有する事が出来る寛大な心の持ち主がいたら私は感動する。
一日500キロカロリーしか摂取してないのに体重が増え続けるぽちゃさんが存在しないように、「もうおじいちゃんだから仕方ないよね、この間も退職金を貰うまではどんなリストラ勧告受けても絶対辞めないって宣言していたり、私たち非正規社員は貰えないんだけど、彼だけでも満額の退職金を受け取る事が出来るようにみんなでフォローしていかなくちゃね」なんて優しい眼差しを向けてあげられる偉人は通常いない。
*はじめてミシンを手にした日に自力でイブニングドレスを裁縫 *ド素人の少年が親父の設計したモビルスーツでザク撃破 *人生最初の台詞が「天上天下唯我独尊」 *岩手競馬で一億の資金を百億に *将軍様、初ラウンドで11回のホールインワン達成 *念力でiPhone動作 *人生で大切な事はみんなフットボールが教えてくれた *ヤクザと縁のないバーニング幹部 *バイク乗りの楽園を手に入れるためにタイヤ付き宇宙戦闘艇建造 *父はジン・ジャハナム、幼馴染みの母はマリア・ピア・アーモニア *好感の持たれる書き込みに徹する末尾P *奥様は魔女
そんな奴はいねーのだ。 そんなわけで非常事態事後、いち契約社員に過ぎない私の叱責というか怒りの罵倒を真っ正面から受ける事となった彼は、定年までの残り約半年と言う期間を肩身の狭い状況で過ごす事となったわけである。 しかしあんまり強く責め立てると「モラル・ハラスメント」という問題になるらしい。ぽちゃさんの乳首とは異なり、上司が部下を責め立て過ぎるとパワー・ハラスメントすなわちパワハラで訴えられるこのご時世だが、この場合は「同僚からのいやがらせ」である。 しかし同僚あるいは部下が同僚あるいは上司のふざけた業務態度を叱責する事自体がいやがらせつまりハラスメントに当たるかどうかと言うとこれは微妙だ。 今回私は罵倒する勢いで口論したわけだが、あまり度が過ぎるとこれは単なる職場のモラル破壊者という事で私の問題になる。だが、根本にある職務の怠慢という問題が消えたわけではない。業務上の節度な叱責は正当な行為と言えよう。まあ今回は罵倒し抜いたので正当と言えるかどうかは難しい所だが...だがしかし、悔いはない。 彼はあの後「あれはただの職場の喧嘩だよ、礼儀の問題だ」としきりに口にしているようだ。そう言う事にして終わらせたいようだが、違う。これからも同じ様に事が起これば、私はまた包茎を、もとい、牙を剥くオヤジと化すだろう。 ぽちゃさんに対して発せられる優しさをおっさんに向ける事が出来ないのは私という人間の不徳のなすところであるが、無理なものは無理だ。 舐めるなジジイなんである。 矜恃のない人間は、見くびられるだけである。僕は...嫌だ(by 破嵐万丈)。
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