ラミレスそしてプホルスの苦悩(しかし大金はGET済み)
大金を貰っている奴が怪我や病気をしているわけでもないのに働かなかったら世間の目は非常に厳しくなる。
そんなわけで横浜DeNAベイスターズのアレックス・ラミレスは非常にホッとしているのではなかろうか。五月四日、彼はようやく今シーズン第一号のホームランを横浜スタジアムの外野席に叩き込む事が出来た。
統一球の導入で一気に本塁打を目にする機会の減った日本のプロ野球だが、毎年三十本後半から四十以上打っていたラミレスも影響を受け、巨人時代の昨年は二十三本だった。しかしそれでもリーグ二位の成績だったわけで、打率も二割台に落ち衰えを感じ始めたとは言え、まあ普通に想定内の成績と言え、村田修一がFAで巨人に去った後の横浜が二年七億円でラミレスを穫った事を非難する声はそんなには聞かれなかった。何せこの十年セ・リーグで一番の打撃成績を残したスラッガーである。DaNAからしても少々高いが悪い買い物ではなかったはずだ。 それが四月を終えた時点で本塁打ゼロ、打率が二割チョッピリと来てはなかなか辛いものがある。ちなみに守備力は肩負傷後の阪神金本とタメを張れる酷さである。 おまけにクリーンアップを組む中村紀が元々は自業自得とは言え千五百万円と言う実力と実績からすると信じられないような薄給で頑張っているところからして肩身が狭い。狭くなかったら嘘だろう。そもそも本来一本ホームランを放った程度で満足してもらってはならない存在なのだ。 もっとも同情の余地はある。 昨年統一球など物ともせず本塁打を打ちまくった西武中村や、覚醒したかと思われた日本ハム中田らも苦しんでいるが、今シーズンは統一球の他にもバットの太さがメジャーに合わせて規制されるなどバッター受難の年でもある。 ちなみに規制されたバットの太さは66ミリだ。去年までは70ミリまで認められていた。70:66の比率はほぼ105:99に等しい。 105センチあったぽちゃさんの乳が99センチに縮んだら事件である。これは大きなハンディキャップだ。内川やバレンティンの事は今は忘れよう。とにかくバッターは大変だ。 横浜山本省吾みたいに統一球の恩恵を全く受けていない投手もたまにはいるが、老人の域に足を踏み入れたはずの中日の山本昌みたいにキャリアハイのスタートダッシュを見せている人もいるわけで、まあラミレスが打てていないのも仕方がない話なのかも知れない。でもやはり七億貰って「打てません」では困るのだ。 しかし上には上がいる。十年総額二億五千四百万ドルと言う破格の契約でロサンゼルス・エンゼルスに入団したアルバート・プホルスが、やはりラミレスと同じ様に本塁打ゼロ、打率二割ちょっとと言う成績で四月を終えてしまったのだ。 二億五千四百万円ではない。ドルである。ついでに引退後十年間球団の顔として活動する契約なので実質二十年契約である。それが一年目、いきなりこのスタート失敗だ。これは苦しい。絶好調だったオープン戦の頃に戻りたい気分でいっぱいだろう。ラミレスの二年七億円なんてこの契約を考えるとどうという事もない少額に見える。 「年齢を五歳以上詐称している」 「強く否定しているが絶対薬物漬けだったに決まっている」 散々な言われようである。 尚プホルスの場合年齢詐称は昔から公然の秘密と言われている。南米選手にはありがちな(実際よくある)疑惑である。また「今年から薬物検査が厳格化され、クスリがバレでもしたら大型契約がパーになってしまうからステロイドをやめたのだろう、それが証拠に筋肉が落ち体が縮こまっている」なんて言われている。実際エンゼルス移籍後の彼は明らかに体が細い。 「薬を疑われていてそれを否定しているメジャーリーガーが潔癖だった事は殆どない」と言う過去の例からも、当然のように疑われている状況である。私も何一つ証拠はないがプホルスはステロイダーだと思う。その方が面白いし、と言うか、自然だ。あのかつての体型からして。 一部から人格者として称えられてきたプホルス君だが、同じ様に言われてきたソーサもAロッドも一癖も二癖もある性格だった。もう少しはっきり言うとだいぶイヤなヤツだった。潔白でなかったとしても全く何の不思議もない状況である。そもそも大金を稼ぐ奴は信用が鳴らない。私のように純粋にぽちゃさんを愛する好紳士とは相容れない存在だ。 大金を手に入れたが故の苦しみに藻掻くプホルス、ついでにラミレス。意地の悪い貧乏人としては、正直今後が楽しみでもある。日本円にして約二百億円の不良債権...こんな人間模様は、早々見れるものではない。 他人の不幸は何とやらという。彼らを他山の石として、私は堅実なぽちゃさんライフをエンジョイしたく切望する次第である。
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