黒船来航、時は流れ出す。
せっかく職場が落ち着いてきたのにまた人事異動で人員の変動がある。人の世は変わり行くものだが、ようやく平安が訪れてきたというのに「今度来る奴は相当変な奴らしい」「変な奴というか嫌な奴らしい」といった噂を聞くとウンザリしてくる。ペリーが黒船で来訪した時の日本国民なんかがそんな気分だったのではなかろうか。
それにしても「アルコール依存症」「ヅラ」という二重苦を背負ったおっさん率いる艦艇を恐れ鎖国を飲んだ江戸幕府の心中や如何なるものだったのだろうか。 "泰平の 眠りをさます 上喜撰(蒸気船) たった四はいで 夜も眠れず" それにしても洒落た句である。こういう大変な事態でこんな狂歌を作れる日本人はマジ凄いぜ、ほんと。ちなみに上喜撰というのは有名なお茶の銘柄だそうだ。で、2ちゃんねるの煽りっぽく訳すと「ハゲヅラ酒浸りの提督がたったの四はい黒船を浮かべただけで惨めな日本人は夜も震え泣き叫んだわけであります。悔しいのぅw悔しいのぅwwwwww」といったところであろうか。
しかしペリーが来訪したおかげで日本に西洋の風が流れ込み、新たな文化の息吹が根付いたこともまた事実である。カロリーの高い食生活も輸入され、貿易によって日本人は豊かになり、その結果繁栄を迎えた我が日本には貧乏国家ではあまり存在しないぽっちゃり女性を大量に抱える事となったわけだ。これは僥倖と言える。ペリーが来たから今のぽちゃ文化があるのだ。サンキューペリー、君はやっぱり偉人だよ、髪が薄いぐらい気にすんな、なのである。 変化変動により物事が好転することも多いのだ。そういえばお隣の部署は人事異動によって二十代前半の女の子が赴任してきた。あまりぽっちゃりしていないが十分にかわいい子である。羨ましい。しかしながらうちの部署に来るのは五十ぐらいのおっさんであり、しかも上司と部下に大して態度を変えることで有名な男だという。 参ったなあ。 勿論噂は噂なので実際はどうなのかまだわからないが、「嫌な噂はだいたい本当」というのが人間社会の常である。なるべくまともな人間が来ることを祈るのみだ。 しかしだ。考えてみればペリーが開国を要求して日本と諸外国の交易が始まった時、いきなり冬でも半袖のアメ公が大挙して日本に押しかけHAHAHAと下品に笑いながらチョコレートをばらまいたりしたわけでもない。徐々に文化が交差して新しい価値観が生まれていったのである。 まあアメリカさんはイラクでも同じ事をやって思いっ切り失敗してるわけだが、日本人は変化を受け入れるのが比較的上手い人種でもあるのでそういった変革の時代には強いのだろう。 私も日本男児として、環境の変化を利用してかわいいぽちゃさんの一人でもGETするぐらいの機転を利かせたいものだ。 新しい上司に酒の一杯でも与えて煽て上げ、そのまま勢いでぽっちゃり風俗の費用を騙し取るとか色々と方策はあるはずだ。「今度来る奴は良い噂を聞かない。嫌だなー」とか後ろ向きにならずにポジティブな未来を模索せねばなるまい。何とかと鋏は使いようとも言う。上手く利用して楽ちんな職場生活をエンジョイしたく思うわけである。江戸の古代人じゃあるまいし、上喜撰(蒸気船)四はい(隻)ぐらいで目が冴えて眠れなくなるような狼狽した人生ではいけない。駄目そうな上司の赴任を如何に豊かな肉ぽちゃさんとの邂逅に変化させるか、男としての腕の見せ所と言えるだろう。 男は諦めてはいけないのである。職場の雰囲気が若干悪くなるような予感をひしひしと感じても、そんなものに負けてはいけない。だいたい会ったこともない人をどうのこうの言うのもよくない。大いに反省するべきだろう。 しかしながら先も書いたが、この手の悪い噂は殆ど間違いなく外れないというマーフィーの法則さながらの真理も存在する。ここら辺が辛いところだ。 どうかせめてまともな人間が来ますように。 心の底からお祈りしたい気分なのである。
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