田代富雄湘南シーレックス(横浜ベイスターズ二軍)監督退任!
横浜ベイスターズ二軍・湘南シーレックスの監督、田代富雄が退任する事となった。経費節減でシーレックスも消えるし、昨年の体制変更から田代冷遇も何となく予想されていた事ではあるが残念である。球団からはフロント入りを打診されたが「自分に背広は似合わないから」と言う理由で固持したらしい。いかにも生真面目な現場人間である田代らしいコメントだ。
旧大洋ホエールズ色の強いOBを排除したいという親会社の意向もあるのだろう。つい数週間前まで来期に向けての打ち合わせをしていたと言う情報もある。しかしフロント入りすれば給料の心配もせずに済むし、そんなに若いとも言えない大洋・横浜一本の野球人を拾ってくれる球団があるとも限らない。だが本人が言うように、全く背広は似合いそうにもないし、何より現役時代から暇があると地元の高校野球を観戦しに行っていたと言うぐらいの野球バカである。ユニフォームを着る可能性を完全に閉ざす事になるかも知れぬ道は選べなかったのだろう。
もっとも現役を辞めてからしばらくニッポン放送とテレビ神奈川で解説業をする傍らラーメン屋(伝説の「田代ラーメン」。私は残念ながら行った事がなかった)を経営していたまでの男でもある。この男の場合、解説者ではなくラーメン屋が本職だった。ユニフォームにこだわり続けているからと言う深い意味はなく、ただ単に、本当に「俺に背広組は無理だ」と思っているだけかも知れない。いずれにせよ現場人間なのであろう。私も机で電卓を叩いて選手の給料を査定している田代の姿は全く想像出来ない。 さて私のほぼ三十年に及ぶ大洋・横浜ファンの歴史だが、そこにはほとんど全て田代富雄の姿があった。ついでに高木由一も。 ただでさえ関心が薄れているのに田代がいなくなるとか、私の横浜ベイスターズファン人生にも一区切りが付きそうだ。別に今すぐファンを辞めるとかそう言う事もないだろうが、応援にかつてのような情熱が沸かないのも間違いない。私は加地社長を個人的に知っているし、いい人だが、それでファンとしての情熱が燃えたぎるわけでもない。年を取るとはそう言う事かも知れない。しかし田代ファンである事には寸分の狂いもないので、ひょっとして他球団に拾われちゃったりしたらそのままそのチームのファンになってしまう可能性もある。と言うか何となく期待している。 田代の現役時代も終わりの方ではロッテオリオンズへの移籍などが噂された。ロッテはパ・リーグで一番好きな球団だったので問題なかったが、もし近鉄やヤクルト、オリックスと言った他球団へ移籍していたとしたら私はどうしていたのだろうか。長嶋一茂がヤクルトに入団したのを機に巨人ファンからヤクルトファンに鞍替えしたかつての長嶋ファンが大勢いたが今では気持ちが分かる。ファンはチームを愛すると同様に選手個人のファンとなる。私は大洋ファンである以上に田代ファンだった。勿論今でもそうだ。そんなわけでもし万が一田代が巨人にコーチ入りしたりなんかしたら、普通に巨人を応援してしまうかも知れない。私が巨人ファンになるなんて想像もした事がなかったが、有り得る。西武に入ったら西武ファンになるだろうし、オリックスに入団したらオリックスファンになってしまいそうだ。ファンは、理屈ではない。 現役引退後は大洋以外のコーチに就任するなんて予測していた人はいなかったし、事実横浜ベイスターズ(大洋)に帰ってきたが、それからの十五年で多くの打者を育てて名コーチとして認識される存在までになった。千葉ロッテの打撃コーチに就任している金森栄治にしてもそうだが、失礼ながらコーチとして成功するようには見えなかった。田代とほぼ同時に投手コーチとなった大エース遠藤一彦は向いていないのかすぐにコーチを辞めそのまま復帰していないし、進藤達哉なんていかにも優秀なコーチになりそうに見えたのに「下手な奴には教えたくない」なんて口にして顰蹙を買ってしまっていたらしい(噂だけど)。エリートコースを突っ走っていた石毛宏典はダイエー二軍監督を一年でクビになり、一軍監督として起用されたオリックスでとどめを刺された。王貞治は監督として失格寸前の評価まで行ったが、ダイエーで辛抱強く耐え、そのままWBC優勝監督とまでなった。コーチや監督として認められる事は簡単ではない。 田代富雄のコーチ人生もこのまま終焉を迎えてしまうのだろうか? 現役時代も成績不振で一度引退を決意しスポーツ新聞に載ったが当時就任した須藤豊監督に誘われてもう二年現役を延長した事もある。そしてそれが有終の美を飾る引退試合での満塁ホームランに繋がった。もう一度ピンク色のラーメン屋にチャレンジするのもいいが(当時の店は水回りもそのままでいつでも営業再開出来る準備は整っているらしい)、やはりコーチ業でももう一度チャレンジを期待したい。 打撃コーチとしてばかり評価されるが、二軍監督としての成績は優秀だし昨年の一軍監督代行時も常に一歩先の塁を狙う攻撃的なチーム作りを指向し、ベテランも若手も誰も選手を見捨てない全員野球で貧弱な戦力のチームを良く引っ張っていた。超弱かったけど。しかし選手を見切らない優しさは監督向きとは言えないかも知れない。代行時代もあんなに負けが込んだのにマスコミにも全く悪く書かれなかった。しかし人柄とチーム成績は一致しない。難しいところだ。 いずれにせよ田代富雄はスーパースター候補生筒香嘉智の開花育成と吉村裕基の再生を最後の仕事として横浜ベイスターズを去る。私はどうすればよいのだろうか?当然私もどこまでも田代富雄について行く所存である。 ファンを続けるとはそう言う事なのだ。ぽちゃさんを愛するように、私は田代富雄のファンであり続ける。これは私の中にある決定事項だ。 願わくば、野球の神様が田代富雄にもう一度チャンスを与えて下さりますように。 去年噂された中日さん、いいコーチがいてますぜ! 本日は「ちっともぽちゃさんと関係ないお話でしたね」と言う訪問者の意見は無視する事とする。文句は言わせない。
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